You are reading

  • 2011/09/02
  • ギャラリーアビィ、代表吹雪大樹」インタビュー

    6周年を迎えたギャラリーアビィ。
    今回レビュアーもお願いしているギャラリー代表の吹雪大樹さんにお話をお伺いしました。


    写真を始めたきっかけ

    僕は写真学校の映画学科の出身で、始めは映画の世界を目指していたんです。
    そのころ学校斡旋のアルバイトでスポーツ新聞社の暗室の仕事をやっていて、
    来る日も来る日も現像プリントを繰り返していたんです。
    もう毎日大変で野球にラグビーにマラソンに競馬に、
    なんでこんなことやっているのかな~なんて思いながらね。
    でも今思うとそれが最初の写真との触れ合いでした。

    それはただのアルバイトだったんですけど、
    その後は28歳で写真を本格的に始める迄には写るんですを買って記念写真を撮るくらいのものでした。

    学校を卒業してからTVの仕事をはじめたんですが、
    忙しすぎて本来の表現活動でしたかった映画の製作ができなかったんです。
    映画は集団で作っていく芸術で本当に大変で、なかなか映画つくれないな~と思っていました。

    そんな中ふと”写真って静止画だけど、いっぱい撮って組み合わせたら映画みたいになるかな”という発想からですよね、映画の代わりに写真を撮ろう!って。


    ホルガとの出会い

    運命の出会いでした

    最初はやっぱり一眼レフを探しにカメラ屋さんに見に行ったんですけど
    その頃の一眼レフは大体樹脂製のボディでちょっと角の丸っこい金色がかったデザインが主流で、
    なんかしょうもないなって思って。
    やっぱ格好から入らなあかんやろ!ってことで、銀色か黒で角張っててそんな感じが欲しかったんです

    たまたまネットでトイカメラっていうのをがあるって知ってですね、
    ホルガとかロモとかの作例を海外のHPで見て
    要するにあのぼんやりした感じや周りが暗くなってる感じがモロに映画の8ミリカメラで撮ったような雰囲気で、映画の代わりに写真やるんやったらコレだ!って思ったんです。
    目標は有名人でしたから、当時はホルガを使っている人も少なくて、目立つんだったらこれだ!と思ったんです。

    これで何か有名人になれるんじゃないかと漠然と思いながら写真を撮る日々が始まりました。
    その時が28歳、遅い写真のスタートでした。


    心斎橋の路上で

    それから手始めに毎週土曜日に心斎橋の路上に座り込んで写真を売りました。
    ネットで知り合った写真仲間と写真部を作ってましてね、
    プリンタで刷ったハガキを通行人に売りつけてました

    50枚売れる日もあれば、全く売れない日もあって、
    それでも自分が撮った写真を全然知らない人が買っていくことは嬉しかったですね。
    たいていその場限りのやりとりになるんですけど、わざわざ時間をさいて写真を見て
    コレが欲しいって言ってくれるのは嬉しかった。

    そしたらある日たまたまNADARの林さんと路上で知り合っったんです。
    当時NADARはちょうどオープンしてすぐの時で
    写真やってるんだったら一度遊びにおいでよと誘われたんです。
    そこからギャラリーでの活動が始まるんです

    当時トイカメラは評価が低くて、
    ギャラリーに持ち込みとかをしても”見る値打ちもない”みたいにあしらわれたりする事もあって。
    そんな中で林さんが最初にはじめて「おもしろいやん」って言ってくれたんです。
    そこからNADARに通いだして、
    だから僕にとってNADARは原点的なところなんです。



    若い人たちの写真について、そしてメッセージ

    ここ2~3年で思うのはみんなすごく上手くなっていますよね
    僕なんかが写真を初めたころなんかの写真じゃもう全然太刀打ちが出来ない。
    それは情報の流通している量が違うとか、色々なカメラがあったり、プリント方法があったり、デジタルが全盛期だったり、機械の進歩っていう事もあるかと思います。
    平均値があがった感じがします。

    ただそれだけにちょっと突出した人が少なくなったな~とも思うんです。
    このひとちょっと写真狂いだよね、っていうような、
    こんな写真撮ってたら社会じゃ生きていけないんじゃない?っていうような
    要するにある種熱狂的に自己主張してくる感じ、当時はゴロゴロしてましたけどね。
    まぁ昔の事を言っても仕方ないんですが、今はちょっと薄いかなぁ~と思うことはありますね。

    写真をしている若い人達はかなりのビジュアルを見ているだろうし、
    良い写真展も沢山も見ているだろうし、
    何かお手本になる道を目指して進んでいけるんですが、
    器用にそこに到達してしまったら満足してやめちゃうのかなって気になる事はありますね
    そうなって欲しくないから言うんですけどね。

    僕が写真を始めた頃でも新しい写真なんてもうないんじゃないかみたいな感じでした。
    そこから10年経ってなおさら、
    こんな写真は見た事無いっていうような写真は少なくなってきていて、
    じゃあ後はもう何を撮って何を表現していくかと言う事になると思うんです。

    シンプルな理由で構わないと思うんです、
    何を自己表現したいとか自己主張したいとかね、
    それだけに片寄ってしまっては駄目ですけど、
    そういう個性ある写真が出て来たら嬉しいですね



    インタビュアー:
    写真を初められたきっかけから、ホルガとの出会い、若い人へのメッセージなど、
    幅広く熱く写真について語ってくださりました吹雪大樹さんでした!ありがとうございました!

    ------------------------------------------------------------------------
    吹雪大樹  HP http://g-avi.com/
    ギャラリーアビィ代表。
    ホルガ会会長を努めるなどホルガの第一人者として活躍中。
    自身もギャラリーアビィの作家の1人と位置づけ、作品発表活動も。

    文:中澤 有基 



    Copyright galleryMain 2011 kpa2011blog